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「ははそうかも。杏一が居ない間ずっと支えてくれたの。身籠って帰って来た私を責めるでもなく受け入れてくれた。うち両親がもう居ないでしょ?だからお兄ちゃんが親代わりなの」
そしてお兄ちゃんは私の背中を押してくれた。
「ごめんね。大事な時に側に居てあげれなくて。一人で出産よく頑張ったね」
杏一は凄く優しい
それが時に傷つく時もあるけど君は根っからの優しさ星人なんだね
「ううん。私が勝手に産んだんだし。杏一は何も知らなかったんだから」
「いや可能性は考えた。あんなに中に出したんだもん。本能のままに…男だからさ、そりゃ考えたよ?ピル飲んでるって言われても正直よく分かんなかったし、柚が本当のことを言ってるかも少しは疑ってた。今でも覚えてる。やめようと思ったけどハハすげー気持ちよかったから。でも出来たとしても覚悟はあったんだよ?今更だけど。けどそんなに柚が思いつめてたことは知らなかった。すごい傷付けてたんだって…本当に申し訳ない」
私が望んでやったことなのに何一つ責めない杏一にこっちが罪悪感でいっぱいだ
「ううん私もごめんね。正直に気持ち伝えてれば…もういいのこれから幸せにしてくれればそれでいい」
もう振り返らない
そう決めたんだ
もう分かったから
あなたの覚悟は
「もちろんそのつもり。だから今ここにいる。明日朝早く家に連れてくよ」
「いいよもう少ししたら帰る。杏奈が起きる」
「何言ってんのダメだよ。こんな深夜に出歩かせない。お兄さん見てくれてるんでしょ?いっぱい無理させたし、もうちょっと休まなきゃ。旦那の言うこと聞いて」
お兄ちゃんは気にするなって言ってくれたけど
「ふふ大丈夫だって」
「あのさ、少しでも一緒に居たいんだって!」
あぁごめんなさい
こういうとこだ女子力
いつも杏一と私反対になってる気がする
もっと甘えなきゃ
もう甘えていい存在が今すぐ側にいるんだから
お兄ちゃんにも甘えよう
「ごめん…わかった。じゃあもう寝よ」
「うん。タイマーセットして…と…よいしょーっと」
杏一はスマホでタイマーをセットした後柚季の身体を引っ張って腕枕の体勢にする。
「柚、女優さんとのラブシーンあっても柚を抱いてるって思うから大丈夫だからね。まぁ前貼りするし、俺柚以外勃たないし」
「べ別にいいよ…そんなの…仕事だし…今までも…」
女優さんとのラブシーンを見るのは正直嫌だった。
私じゃない女に触れて優しい笑顔で抱いてるKYOUの姿は色気があり過ぎてとてもじゃないけど見れたもんじゃない。辛すぎた。
「ダメだよ。こういうのはちゃんと言っとかないと。柚は俺が抱いてる女優は私って思えばいい。俺も思ってる」
思えるわけないでしょ
でもそんな色気のある人が実際抱いてるのは私だなんて今なら素直に優越感に浸ることができる。
「そもそも私達のこと公表しないでしょ?」
「は?するよ」
「しないでよ。イメージ悪くしちゃう」
「なんで?活動休止してたんだからその間色々やってましたーでいいよ。病気説、不仲説、結婚説、薬物説、不倫説、すごいよね。有る事無い事書かれてプライバシーなんてないよねこの世界。関係者ってとりあえず関係してないからね。2年間めっちゃ書かれた。でもそれも仕事の一つなんだよね。どうせバレるし、授かり婚でしたって事で。なんか柚には悪いけど」
「いやいいけど。結果そうだし」
いつの間にこんな達観したんだこいつは
二年間山籠りでもしたのかな?
精神的にちょっと大人になった気が
さっきあんな子供みたいに泣いてたくせに
「大丈夫。柚と杏奈のことなんか悪く書かれたらすぐ訴えるし。まぁ訴えたところでってあるけど」
「え?あ、うん。そうだねありがと。
杏一は…2年も何してたの?」
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