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「はい。また改めて出直して来ます」
「フンッ」
お兄ちゃんはまた薪割りを始めた。
「柚ちゃん、おはよう」
「マンマ!」
「玲子さん!おはようございます!杏奈みて頂いてすみません!」
家の中から杏奈を抱いて玲子さんが出てきた。
すると玲子さんは私の方にではなく杏一の方へスタスタと向かう。杏奈を抱えたまま。
「初めまして。壮志の妻です。夫が殴ってしまったそうでごめんなさいね」
お兄ちゃんから聞いたのか。っということは全てわかってるのかな。
「いえ、大丈夫です」
「私から一つお願いがあって。柚ちゃん色々我慢し過ぎるから我慢させないであげて欲しいの。お願いします。杏奈ちゃん、パパよ。
はい、パーパ」
「玲子さん…」
杏一の方に手をピンと伸ばした杏奈を彼は少し戸惑いながらも小さい彼女を抱きかかえる。
「え、あ、はい、もちろんです」
内心杏奈にどういう風に言おうか少し迷ってたから玲子さんが言ってくれて助かった。
そう。普通に言えばなんてことなかった。
玲子さんこそ私のせいで結婚も長く我慢してきてくれたはずなのに。
「パッパパッパ!パッパパパ!キャハッ!」
「杏奈…」
意味が分からないで言ってる彼女は誰よりも一番分かっているようにみえた。
「ゆっ柚、はい、これ以上くっついてたら俺帰れなくなるよ」
杏奈は杏一の頰をペチペチと触ったり髪で遊んだりし始めていた。しまいには彼のほっぺにチュウしてる。
杏奈…イケメン好きね将来が怖いわ。
「ふふ、うん」
杏奈を杏一に代わり抱き抱えると心の中で謝罪した。
昨日あなたのこと“できてしまった”って自分勝手に思ってしまったけどちゃんと私がこの人との証を残したくて望んでできたあなただからね。と。
「じゃあまた毎日連絡するね」
「いいよ帰ってからで。気をつけてね。休み休み帰ってよ?」
「うん早く帰って早く来たい」
ニコニコ笑うこの人は殺害予告されたお兄ちゃんにビビってないのだろうか
私達兄妹に殺害未遂殺害予告されるってどういう婚約者だ…
きっと杏奈に会いたいんだろうな
デレデレしてた
本当に子供好きだったんだ
杏一が帰る時玲子さんがこちらの名物のお菓子をあげて何か喋っていたけど杏奈が騒いでいて何かは聞こえなかったし別に私も気にしなかった。
でもそれから杏一と連絡が途絶えた。
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