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『それ、興味を持ってくれたのね。』
優しい声のする方を見上げると、店主がこちらを見ていた。とても美人ですらっとしている。けれど袖を上げたセーターから見えた腕に大きなアザがあった。
一応、女として生きている私はそこが気になってしまった。完璧な人間っていないんだな。でもあまり見ちゃいけないと思い、慌てて視線を上げた。
彼女は不思議な雑貨屋さんの店主に相応しく、容姿も言動もどこか不思議な雰囲気を漂わせている。この世の者ではない雰囲気、とでも言うか。
『興味というか、気になるというか。』
私には両親がいないため施設で暮らしている。施設には様々な事情を持つ子がいて会話は少ない。
そのせいか感情が乏しいとよく言われる。学校なんかに行くと、その温度差を激しく感じる。
『あなたにだけ、見せてあげる。』
彼女にとっては、そんな温度差はどうでもないようで、とても嬉しそうに私の手を取り、お店の奥にあるレジコーナーへと進んだ。
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