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何事もなく部活が終わり、手際よく片付けをした後はやっと帰路だ。
辺りは薄暗くなっている。
私は見た目が男の子のようだし、女の子の一人歩きなんて何の心配もした事がない。部活だって、女として意識しないから楽でいいと重宝されている。
この日もひとり歩いて帰ろうとした。
『お前だろ、これ。』
校門の前まで来ると先輩が立っていた。その手にはスニーカー、の形をした物がぶら下がっている。
『まあ、一応そんな日なので。』
本当は心臓が口から飛び出しそうだったけど、私は何でもない顔を作って返事をした。
『送ってやるよ。暗いしな。』
先輩とは同じ方向に住まいがある。断ったって同じ方向へ進むのならと、そうする事にした。
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