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茶碗を置こうとした時、また不意に笑いかけられた。 こいつは本当によく笑う奴だ。 「鬼も野菜食べるんだね」 「食べちゃ悪いかよ」 「もうこれからはベジタリアンになれば良いのに」 「べじ? 何だそれは」 「野菜中心の食生活って事」 「やだよ、力になんねー」 いつまで続くかわからない会話と、何かしらそのベジなんとかに勧誘されそうだったので、俺はいそいそと縁側から庭へ出た。 今日は確かに暖かい、肉の一匹や二匹獲れそうだ。 「また来てくれる?」 「気が向いたらな」 嬉しそうに笑うヒナの表情に、なんとも言えない気持ちが巡り、急いで山へ帰った。 それからまた、幾度か巡った季節の後の節分の日。
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