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「子供を攫ったの?」 「人間は喰わねえと、決めたんだ」 「そうなんだ、ビックリ」 本当にびっくりしたと言わんばかりに目を見開くヒナ、その仕草がいちいち大袈裟だ。 俺の言葉に安心したように、ウンウンと大きく頷くと、俺の茶碗に残った鍋を継ぎ足しながらふわりと笑ってみせた。 「だからね、私考えたの。福と鬼が仲良くしたら、鬼も福みたいに大事にしてもらえるんじゃないかって」 「身分も形も違う、俺は人間だって食うんだ、神様なんかと」 「でも、あなたは食べないんでしょう? それとも、私を食べる?」 野菜なんかで満たされることのない腹が、米なんかで満腹にならない腹が、急激に血肉を嗅ぎつけ、目の前にいるヒナへ手を伸ばしかけて、やめた。
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