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俺はじっと見ていた。
山の麓にある村では、子供や大人が楽しそうに豆を撒き、叫んでいる。
「鬼は外ーー! 福は内ーー! 」
目に付く家々の玄関には、大嫌いな柊に鰯まで飾られる始末。
冬で飯になる生き物が殆ど獲れないから、わざわざ降りてきたというのに。
ナンテコッタ。
「ほら、あんまり開けっ放しにすると鬼が入って来ちまうよ」
「はぁい!」
それはそれは楽しそうに、鬼を嫌う親子の会話が耳につく。
俺が一体何をした。
きっと俺が今一歩でも村へ入ったら、これでもかと豆をぶつけられるだろう。
腹が減っているとは言え、自分からそんな環境へ赴くほど馬鹿ではない。
仕方ない、今日はハズレの日だと思うことにしよう。
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