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俺には友達なんて。 また俺は、ここから逃げようと腰を上げかけて、今度はヒナの手がそれを止めた。 小さくて細い腕、俺の何倍も小さなそれは、簡単に折ってしまえそうだった。 「その代わりあなたのお腹、できるだけ満たしてあげるから、それでもダメ?」 そう言って、沢山のお供え物から、幾つかの包み紙を手渡して来た。 それはとても甘い匂いがして、とても軽かった。 「お菓子って言うんだよ、とっても甘くて美味しいの」 「俺は鬼だ、神様なんかと仲良くできねぇ」 「私は平気」 それでも食い下がるヒナの手を振り解き、俺は立ち上がった。 俺はこんな暖かなところにいてはいけない。 俺は、鬼なんだから。 そうして、俺はやっぱり家を飛び出した。
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