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翌日、腹の虫に急かされ、もう一度山の麓の村へ足を向けた。
そこかしこに豆まきの跡があり、冬支度の鳥が一心不乱についばんでいて、だけど俺を見るなりみんな逃げていった。
あぁ、前菜くらいにはなったかねーーーー。
そんなことを考えながら、一番近くにあった民家の庭へ足を踏み入れた時、いつからいたのかそこには人間が一人、じっと俺を見て立っていた。
俺の指一振りで砕けてしまいそうな小さな子供。
真っ白過ぎる白装束に身を包み、長い髪を風に任せ、頭には鬼の面、細く小さな腕に抱かれているのは升に入った豆だった。
「どうしてきょうきたの?」
いきなり話しかけて来たもんだから、驚いて他の奴に話しかけてるのかと周囲を見渡すも、朝も早いし人っ子一人いない。
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