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◆◆◆ 「おはようございます!」 AM8:00。 ICHIMIYAグループの国内営業部には既にちらほら人が出勤していた。 「うーん、良い天気。」 外は快晴。 やる気も十分。 何より、今日は新しいレース調のワンピースを下ろしたから、余計にご機嫌だった。 足元は履き慣れたペタンコ靴。動くことが多い営業職だから、こればっかりは仕方ない。 自分の席に着くと、琴音は慣れた手付きでPCを起動させる。 起動を待つ間、使い慣れたピンク色の可愛らしい手帳を開くと、今日の予定を確認し始めた。 今日は四月一日。 朝に部内朝礼と、課内朝礼があって、その後は・・・。 琴音が買ってきたスタバのコーヒーを飲みながら手帳に書き込みしていると、同じ課で後輩の堂島彩華(どうじまあやか)が出勤してきた。 「おはよう。」 「おはようございます。」 彩華は一瞬だけ琴音に視線をやっただけで、何も言わず自分の席に着いてしまう。 彩華の冷たい態度はいつものこと。 琴音も自分の仕事の準備をしている内に、隣の課の女の子達や、同じ課の主任達が次々にやってきて、室内は一気に騒がしくなる。 メールを確認していると、隣の課の後輩、三村詩織(みむらしおり)が話しかけてきた。 「琴音さん。明後日の夜って空いてますか?」 「うん、空いてるけど?」 琴音が返答すると、詩織が可愛らしい顔をほころばす。 「良かったあ。今日から琴音さんの課に来る藤田さんの歓迎会を、若手でやろうって企画していて・・・。参加してくれませんか?」 「いいよ。私も藤田さんと早く打ち解けたいし。」 「嬉しい!じゃあ、後で詳細をメールしますね。」 にこにこと帰っていく詩織を見送って、琴音は再び手帳に目を落とす。 『4月3日、歓迎会』と書き込んだ所で、就業開始時刻を知らせるチャイムが鳴る。それと同時に『朝礼始めるぞ!』と部長自ら呼びかける声が聞こえる。 琴音は慌てて立ち上がると、いつも朝礼を行う部長の席の前に向かう。 部長の隣には、既に1人の男性が立っていた。
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