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「鈴木さんが樹との未来を望んでも?」
「ああ。時期が来れば手放す。」
藤田の言葉に、五所が僅かに眉を寄せる。
「・・・それじゃ、樹はいつ幸せになるんだよっ。」
苦しげな声に、藤田が顔を歪める。
「俺は幸せになるつもりはない。誰とも結婚する気はない。」
「・・・。」
「悪いな、こんな男の人生に付き合わせて。」
五所はぐっと拳を握りしめた後、グラスに残っていた液体を食いっと飲み干す。
「今更。俺は死ぬまで付き合うつもりだ。覚悟しろよ。」
「はっ。怖いな。」
藤田は五所の顔を見ると、少しだけ悲しげに笑った。
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