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「すみません、わざわざ来て頂いて。」
「いいえ、気にされることはありませんわ。ただ時間があまりありませんので、さっそく採寸の為に服を脱いで下さいね。」
「え?」
「藤田様は席を外して頂けますか?スタッフの皆さんは、廊下で待機。」
「ええ?採寸はこの間も・・・。って、わ、自分で脱ぎます。待って下さい!」
一分もかからないで、文字通り”綺麗に剥かれた”琴音は、羞恥に頬を赤くする。
そんな琴音のほぼ裸を目にした田中は、内心にんまりした。
「さ、測りますので、背筋を伸ばして下さいね。」
「・・・はい。」
田中は忙しくメジャーと紙とペンを交互に動かしながら、心の中でだけ大騒ぎする。
(まあ、お胸がこんなにお育ちになって!ちゃんと下着を着けて頂いていたのね。まあ、下着のせいだけじゃないだろうけれど。)
(ウェストが大分絞れたのね。ああ、太ももの間に隙間が出来ているわ!)
(あら、お肌も滑らかになったわね。何を塗っていらっしゃるのかしら?)
ひたすら無表情で測っている田中だったが、さすがに左胸のふくらみのすぐ下、本人も確認しにくい場所に赤い痕を見つけた時は、一瞬顔をしかめそうになってしまった。
(意外と独占欲が強いのかしら・・・。)
あの俳優の様な藤田の姿を思い出して、田中は小さく嘆息した。
「あの?」
田中の変化に気が付いた琴音が、不安そうに首を傾げる。その様子を見た田中がにこりと微笑んだ。
「すみません、随分ほっそりとなされたので、少し感動してしまいました。」
「ほっそり・・・しましたか?」
「ええ。」
力強く頷くと、琴音はぱっと花が咲いた様に微笑む。
(可愛らしい人ね。)
以前会った時も可愛らしいと思ったが、前回の比ではない。
余計なもの(脂肪)が落とされて、身に着ける物が洗練されたからだろうか。それとも、一流の男に愛されているからだろうか。
元々持っていた美しさが表に出始めている。
(磨けばもっと光そうね。)
田中は冷静に、今の琴音を最も美しく見せる服装を考えながら、廊下で待機していた下着売り場のスタッフを呼ぶ。
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