第1章

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練り込み屋の看板を掲げて15年になる。長く続けていると色んな依頼がくる。中でも、偽の練り込みを取り除いて欲しいというのは厄介な依頼だ。 今回の依頼はその厄介なものだった。既に犠牲者が出ていた。 家を建てる時、基礎にコンクリートを流す。そのコンクリートに、その家の主の念を練り込むと強度が増し、しっかりとした土台が出来る。 通常なら練り込み師と主の打ち合わせの時点で、先祖から受け継いだ意思、主の意思を綺麗な言葉で書き出してもらう。 そして更に試し練りと言って、依頼者の前で分かり易い簡単な証明をする事が義務付けられている。仕事を依頼するかの判断してもらう為の依頼者側への配慮だ。 だが、今回の依頼内容と被害の状況を確認すると試し練りもなかったようだ。国家資格のバッジも偽造だったとある。 取り敢えず、依頼者に会うことにした。
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