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「だから何度も云うけど、知里は俺のものじゃないし。
知里がいいならそれでいい。
けど、知里が嫌がることはするな」
すぅーっと黒縁眼鏡の奥の目が細くなって、宗太先輩を睨み付ける。
「冗談だよ、冗談。
知里ちゃんは可愛いけど、女としてはなー」
「宗太先輩、失礼です」
宗太先輩が笑うから、私も冗談っぽく云って返す。
優輝先輩もまた、何事もなかったかのように唐揚げを囓ってる。
……でも。
まだ、心臓がドキドキしてる。
宗太先輩から出そうになった、滅びの言葉。
なんでみんな、そういうことにこだわるんだろう。
私にはまったく、理解できない。
結局、食欲がなくなってせっかくのオムライスを残してしまった。
「知里、大丈夫か?」
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