恋愛しなきゃいけませんか?

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にやにや笑う宗太先輩が気持ち悪いなと思いつつ、スプーンに山盛りのオムライスを頬張る。 「知里、ケチャップついてる」 テーブルに手を突いて身を乗り出してきた優輝先輩の手が、ティッシュで口端に付いてたケチャップを拭ってくれる。 「ありがとうございます」 「いや、いい」 黒縁眼鏡の奥の目が眩しそうになってふふって笑うから、私もふふって笑い返す。 とたんに隣から聞こえてきたのは大きなため息。 「なあ。 おまえらほんっとに、付き合ってないんだよな?」 「付き合ってないよ。なあ」 「はい」 ふたり同時に首を傾げて顔を見合わせると、また宗太先輩の口からはため息。 「じゃあさ。 ……知里ちゃん、あーん」
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