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「なにが、ですか?」
残飯入れに残りのオムライスを落とし、平気な顔して振り返ると、黒縁眼鏡の向こうから心配そうな目が私を覗き込んだ。
「その、宗太のこと」
「宗太先輩ってほんとしつこいですよね。
なんであんなことにこだわるんですかね。
私には理解できません」
じっとレンズ越しに優輝先輩の目を見返すと、ふっと笑ってくれてほっとした。
「だよなー。
なんでだろ?」
わしゃわしゃと優輝先輩が私のあたまを撫でるから、また髪の毛が乱れる。
優輝先輩は絶対に滅びの呪文を口にしない。
そう、絶対に。
なぜか私は乱れた髪をなおしながら、自分に云い聞かせていた。
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