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「知里」
優輝先輩の声がひどく遠い。
あたまが、ぐらぐらする。
「……顔色悪いぞ。
熱中症か?」
勧められて女の子の隣に座ると、彼女は優輝先輩にわからないように、私に向かってにやりと笑った。
「優輝。
なにか冷たいもの、買ってきてあげて。
私が彼女に付いてるから」
「ああ」
優輝先輩がいなくなると、頬杖をついて私に話しかけてくる。
「あなた、優輝の彼女?」
「……違います」
「じゃ、問題ないわよね?」
楽しそうに笑う彼女に、返す言葉がない。
確かに、私は優輝先輩の彼女じゃないのだから、優輝先輩が誰とキスしてようと、責めることはできないのだ。
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