第1章

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今日はバレンタイン、彼に渡すチョコレートケーキ忘れずに持って行かなくちゃ。 昨日、バイトから帰宅して頑張って作ったケーキだもの。 彼甘い物が苦手って言っていたから、砂糖を減らし少し苦めのチョコレートケーキに仕上がっている。 朝食の後片付けを終えて、誰もいない家の中に「行ってきます」と声をかけ、ドアに鍵を掛けて学校へ向かう。 昼休み、何時も彼と一緒に昼食をとる屋上に続く階段の踊り場に行く。 あれ? 踊り場に行くとそこには彼だけでなく、彼の肩にしなだれかかっている女の子がいた。 階段を上がって来た私に気が付き、彼が私に衝撃の言葉を投げかける。 「俺達別れようぜ」 「え!? ど、どういう事?」 「お前と一緒にいてもつまらないんだ。 遊びに誘えば、バイトがあるから行けないって言うし。 ケータイ持っていないから連絡が取れない。 一番頭に来るのは、何時まで経っても遣らせてくれないって事だ。 ブスでは無いけど、美人でも無いお前なら遣らせてくれると思って付き合ったけど、誤算だったわ。 この子、お前に比べて可愛いだろ。 俺の事が好みなんだって。 今日の帰りラブホに寄って、バレンタインのプレゼント貰う約束しているんだ。 そういう訳でお前とは縁を切る。 じゃあな」 呆然と立ちすくむ私を踊り場に残し、彼は女の子を連れて立ち去った。
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