第1章

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あれ此処何処だろう? 気が付いたら知らない駅の駅前のベンチに座っていた。 手に持っているのは、チョコレートケーキとお弁当が入った紙袋だけ。 鞄は? 午後の授業受けたっけ? それより此処何処? どうやって此処に来たの? 全然思い出せない。 帰りの電車賃あるかな? 財布の中を確認。 小銭が数枚入っているだけ、如何しよう? お母さんに迎えに来てなんて言えない。 身体が弱いのに仕事を3つも掛け持ちして、育ててくれているお母さんにそんな事言えないよ。 援助交際? どうしよう? 悩んでいる私の頭上から声がかかった。 「誰かと待ち合わせしているのかな?」 顔を上げ、声をかけて来た男の人を見上げる。 24~5歳の太り気味の若い男の人が私を見下ろしていた。 私は返事を返す。 「いえ、待ち合わせではありません」 「そうか。 紙袋、多分中身チョコレートだと思うけど、渡す人を待っていたのかなって思ってさ。 待ち合わせじゃないのなら、俺と暫くデートしない? 諭吉10枚で」 諭吉10枚って、10万円!? 身体を売るの? でも10万円あればお母さんに楽させる事が出来る。 男の人を見上げながら頷く。 「じゃ行こうか」 男の人が手を差し出して来たので、その手を握る。 近くの駐車場に止めてあった車に乗せられ、ホテルまで。 って! 車は凄く高そうなホテルの駐車場に入って行く。
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