第1章

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男の人は車のトランクからバッグを取り出し、フロントに行きチェックインの手続きを行い、鍵を受け取る。 私は男の人の背に隠れるようにして後に続く。 部屋は高層階にあって、夜景が綺麗。 部屋の中も豪華。 部屋の中を眺めている私に、男の人が声をかけて来た。 「先に食事をとろう。 生魚大丈夫?」 「は、はい」 「そ。 それじゃ寿司を食べに行こう」 ホテルの最上階にあるお寿司屋さんに連れていかれ、カウンター席に座る。 お寿司の皿が流れていない! こんなお寿司屋さん初めて。 男の人が注文してくれた。 板前さんがカウンター越しに、お寿司を皿の上に置いてくれる。 ご飯が、上に乗るネタで見えない。 次々と皿の上に乗せられるお寿司、見たことが無いお寿司ばかりだ。 美味しいよ、美味しいよ。 お寿司に気を取られ、男の人に聞かれた事全部話しちゃった。 彼に振られ、気が付いたらあそこに座っていた事や。 シングルマザーで私を育ててくれている、お母さんの事とか。 この美味しいお寿司、お母さんにも食べさせてあげたいなって事なんかも。 全部話しちゃったら、これから私が体験する事を思い出し、身体が震える。 男の人に手を引かれお寿司屋さんを出る、震えが止まらない。 怖い、怖いよ。
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