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「あ、はい」
蓮花先生はそういうと、スタスタと前に歩きだした。
一瞬遅れて僕はその後ろをついていくよう歩いていく。
「…………」
蓮花先生怒ったのかな? あれから何もしゃべってくれないし……。
先生の背中を眺めながら少しずつ不安が積み上がっていく。
「……智樹君」
「!? は、はい?」
丁度別れ道に差し掛かった辺りで先生はピタッと立ち止まると、僕の名前を呼んだ。
「智樹君はあの時、ケガした子を連れて来てくれたよね」
クルッと僕の方に体を向けてきたので、先生と向き合う形に。
蓮花先生の綺麗な眼が僕の眼を射ぬくように見つめた。
……っ!!
「どうもありがとう!」
ガバッ! と先生が勢いよく頭を下げた。
「?!……れ、蓮花先生?」
突然のありがとうに僕は戸惑う。
先生どうして?
「あの時、君にお礼が言いたかったの」
ゆっくりと、蓮花先生が顔を上げる。
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