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「きゃっ! ど、どうしたの? もしかして痛かった?」
心配そうな表情を見せながら先生が顔を寄せてくる。
うわっ!? また、か、顔が近い!
「そ、その……ビックリした、というか……ごめんなさい!」
僕はそう言って思わず頭を下げた。
「……………」
一瞬の静寂がこの場を支配する。
するとーー
「クスッ!……面白い子だね。謝るのはむしろ私の方なのに……ふふっ♪」
顔を上げると、クスクスと目を細めて柔らかな笑みを浮かべる先生が目に写った。
さっきまでのちょっと重い時間がウソのよう。だから、だろうか……
「先生」
「ん?」
「僕、智樹って言います。楠 智樹」
気がつけば、僕は自分の名前を先生に名乗っていた。
「……ふふ。智樹君か。私は……蓮花。前園 蓮花(れんげ)。よろしくね♪」
「はい! よろしくお願いします!!」
バッ!!
僕はまた勢いよく頭を下げた。
「ふふっ♪」
先生の優しげな笑い声が、再び保健室にこだました。
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