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「何があったの?」
「うぅ……走ってたら足元に雑巾があって……」
その子(以下クラスメイトと呼ぶ)は涙目で足元を指差す。
……確かにそこには雑巾が一枚落ちていた。
どうやら勢い余ってそれを踏んでしまい、大きな尻餅をついたということらしい。
「掃除中は走っちゃダメと言ったでしょう?……立てる?」
担任が手を貸しながらクラスメイトをなんとか立たせる。
「ごめんなさい……っっ!」
まだちょっとお尻が痛むのか、クラスメイトは時折顔をしかめる。
「うーん、骨は折れてないみたいだけど……大事を取って保健室に行きましょうか」
保健室………………はっ!!?
「それじゃあ一緒に、保健室へ行きましょう?」
「ちょっ、ちょっと待って!!」
担任が連れて行こうとした時、僕はとっさに声を上げた。
「ど、どうしたの? 楠君」
担任が戸惑った声を上げる。
そりゃそうだ。急いで保健室に向かおうと思ったら突然あらぬ方向から声をかけられたのだから。
「……その、保健室に連れて行くの、僕にやらせて貰えませんか?」
「え!? 楠君が……?」
担任はちょっと困った顔になって、僕とクラスメイトを交互に見つめる。
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