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「ううん、いいの! 今日こうして君に会えたんだもの」
「先生!!」
「智樹君!!」
夕陽をバックに抱きしめ合う影が二つ……。
ってな感じに、泣いてもらえたりして再会を共に喜び合うかと思ったんだけどな……。
ちょっぴりガッカリだ。
「それで今日はどうしたのかな?」
「あ! えと、この子がちょっとケガをしまして……」
「ケガじゃないよ。ちょっと尻を打っただけだ。……っっ!」
まだちょっと痛むのか、顔をしかめるクラスメイト。
「そういうのをケガというんだ」
蓮花先生は一つタメ息をついて、僕からそのクラスメイトを離す。
「ほら、おいで。治療を始めるから」
先生の優しい笑みを見て安心したのか、クラスメイトは素直にそれに従った。
……チクッ。
ん……なんだ? 急に胸が……。
「じ、じゃあ僕はこれで戻ります!」
もうちょっといたかったけど、これ以上は先生の邪魔になる。
それに、クラスメイトに笑顔を見せる蓮花先生を何故か…………見たくない。
ガラッ!!
「あ、智樹君!」
ピシャリ!!
蓮花先生の声を遮るように扉を閉めて、僕は廊下を走り出した。
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