ようこそ下宿屋へ

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夕餉もカレーだが作ってある。 このまま今日はこっちにいてもいいだろうと、うたた寝を初めてしばらくしてからあの子供の気配がしたので、また姿を消して神社へと行く。 この神社は毎日ちゃんと宮司が神酒を置いてくれているので、酒に困ったことは無い。 暫く賽銭箱の裏で飲んでいると、あの子供が軽やかに走ってくる。 多分札が効いているのだろう。 何もつけておらず、走る姿は元気そのものだ。 やはり原因は毎日憑かれているからかと思い、行動を見守ると、財布から五円玉を出し、賽銭箱に恐る恐る入れ、お辞儀をしてから、パチパチと手を叩いて合わせ、「頑張れました!ありがとうございます!」と大声で叫び、深々と御辞儀をして帰っていった。 「また……あの子供は大声で。誰か教え無かったのか疑問だが……やはり面白い」 夕暮れ時は特に余計なモノが出やすいので、姿を消したまま街を見て回る。
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