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「一人……だが、間に合うかどうかは分かりません」
「そうか、それだけ気がかりであった。他の稲荷はみんな去ってしまったから、これからどうなる事か……」
「何も気にせずに休んでいてください」
「すまんねぇ」
また来ると神社を出て、夜道を歩く。
月夜を見ていると、ここにふらりとやって来たことを思い出す。たまたま通りがかった今の神社から信託を受け千年。それ迄色々な神社に行ったがまだ幼くて信託は来ず、旅を続け爺さんに会った。
勧められ今の神社に行ったのだが、周りにいた神社の狐は皆、人が嫌になり神社を捨てたものが殆どだ。自分は爺さんが居る限りは居ようと決め、年月だけが経ち、興味本位で今の下宿を始めてからはまだ50年程だ。
祭りには眷属の狐と共に、人の力を借りて社の一番高い鳥居を飛ばねばならない。
普段はなんの結界か分からないが、上に乗ることすら出来ないようになっている。
あの子供の力があれば飛べるかも知れない。
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