3164人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
祝の酒を買い、流石に秋彪の手は塞がっているので自分で持つことにし、岩戸の番をしているものに帰ると告げる。
「畏まりました。一時的にこちらへの道は塞がれ、すべて役場前に出るようになりますので、お戻りの際はお間違えの無いよう……」
「今日からですか?」
「東は昨晩からです。何かあったんでしょうか?」
「大したことではないと思いますよ?ご苦労様です」
中に入り真ん中辺りまで進むと、警備が数名立っており、出入りの者を審査しているところだったが、既に顔は知られているので、先に通してもらい奥へと進む。
「良いのか?」
「何がです?」
「狐だけじゃなくて、妖怪もいたぞ?」
「妖街ですからねぇ」
「違うって。まともなのはいいとして、ダメな奴らはまた街に戻されるんだろ?あちらで何かあったら大変じゃないか」
「それなら、ついでに捕まえる手間が省けると兄が言ってましたよ?」
「ならいいんだけど。出たら先に冬の神社?」
「そうしましょう。祝い事は早いほうがいいですし」
岩戸を抜けると人間界のいい空気が流れ込んでくる。
最初のコメントを投稿しよう!