ようこそ下宿屋へ

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汁物も今は保温機というのがあるのでそれに入れて置いてあるが、帰ってきた者から自分で棚から食器を出してご飯をよそい食事を始め、食べ終わったら自分で洗ってから拭き、棚に戻す決まりとなっている。 自炊ではないが、自分ですると言うのが食事付きで家賃が安い理由でもあり、親は子供の躾になると喜ぶ。 朝だけはほとんど全員が揃うので賑やかだが、夜は部活動のある生徒に合わせて温め直すこともしばしば。 大学生とはたまに酒の付き合いもする場となるので、つまみ欲しさに夜食を食べに来る高校生もいる。 保温機や冷蔵庫、テレビ。様々なものが出る度に、時代が変わったなと思う瞬間でもあった。 今いる下宿人は高校生が3人、大学生が2人、大学院生が1人の6人。 今宵の夕餉は大鉢に筑前煮、芋のサラダ。平皿に白身魚の塩焼きを人数分乗せ、ご飯と味噌汁を用意し、自分の分だけは別にお膳で用意する。 もちろん酒のつまみも別で用意し、この日は面白いものを見たからと、チンゲン菜のごま油炒めと、余った蓮根と人参と揚げで軽く炒め金平風にして皿に盛り付ける。
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