ようこそ下宿屋へ

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「ただいまー!」と高校生と大学生が珍しく揃って帰って来たのが18時。 「なんだか埃っぽくないですか?先に風呂に入ってきなさい。温めておきますから」と銭湯へ行かせ、大学生は飲むだろうと、自分用に日本酒を。大学生はみんな成人しているのでビールを用意する。 「ツマミももういるかねぇ?院生はまた研究室に泊まり__」とボードに書く。下宿人の帰宅を、持たせているお守りからでも、探らなくとも高校生からいるものならば、ある程度の行動などから予測できるがみんなはそれが出来ることを知らない。 風呂上がりに風邪でも引かれたら困ると、ストーブと暖房を付けるが、あまり好きでは無い。 なのでいつも、あまり当たらない場所を定位置にし、横に小さな火鉢が置いてある。 ガラガラっと扉の開け閉めする音が聞こえたので、「おかえり」と食事の準備を各自にさせて、みんなで手を合わせて戴きますと食事を始める。 男ばかりだが、最初からきっちりと躾をしてあるので喧嘩なども起きないが、食事の時間だけはご飯の勢いが止まらずすぐに米は無くなってしまう。 「冬弥(とうや)さん、お米なくなっちゃった……」と一番下の高校一年の海都(かいと)が言うので、「予備で炊いてあるのがあるから持ってきておくれ」とお櫃を指さす。高校生の1人は卒業の者もいるからあの子供が次に住むには問題は無い。 殆どの料理がなくなりかけたので、摘みを出してビールも追加する。 食事は無料だが、酒代はきっちりと頂く。 毎月決まった金額を預かり、そこからビールを買うが、各々酎ハイやウイスキーなどを買って、冷蔵庫や棚に置いておく者もいる。 余ることはほとんどないが、預かった酒代の残りは毎月神社へと寄付をしに子供たちが行くので、宮司も少なからず喜んではいるだろう。
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