ようこそ下宿屋へ

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「今のうちに聞いておいて欲しいんですけど……明日、夕餉は用意しておきますけど、私は用事でいないんです。後片付けは任せてもいいですか?」 「遅くなるの?」とまだまだやんちゃな甘えん坊の海都が聞いてくるが、「兄さん達と一緒なら寂しくないでしょう?」と諭す。 「大丈夫ですよ。俺達も早く帰るようにするから」とみんなが言ってくれたので、明日は1日準備に集中できそうだ。 「でも、どこ行くんすか?遅くなるの珍しいでしょ?」 「野暮用です。私もなるべく早く帰れるようにはするので、火の元だけは注意してくださいね?」 自分の食器を下げて洗い、程々にしておくんだよと声をかけてから、自室に戻る。 板の間から六部屋が下宿。 自室は食堂を挟んで反対側の土間から続く扉を開けた向こう。 一旦外に出なければならないが、小さいながらも平屋建ての一軒家。 昔ながらの作りが好きで、玄関から入ってすぐの板の間には囲炉裏があり、続く隣の和室が書斎。続けて寝室があるだけの小さな家。 和室側には縁側もあり、庭にある鹿威しの音を聞きながら、月見酒をするのが日課となっている。
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