山茶花(さざんか)と大魔王

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 会長のその手に準備した書類を乗せ、眼鏡のつるを持ってクイッと上げつつ、会長の代わりに口を開いた。 「さらにきちんと提出されている領収書の中には、偽造と思われるものが見られます。 その店で使用されている物とは異なるものです。 しかも日付当日、その店舗は棚卸しで営業していません」  彼らは指摘に青い顔に嫌な汗をかきつつ、「それは何かの間違いだ」とか言い訳を始める。  その目の前に会長が手渡した書類を投げつけた。   「これが証拠だ。そしてお前らが“購入”したはずの備品は実は拾い物や架空のものであることは調査済みだ」    他の部が捨てたはずの備品である証拠写真、購入したはずのものが存在しない部内の写真。  生徒からの聞き取り調査の結果が、その紙に書かれている。 「来年度から部活動費削減、部長以下役員は反省文とペナルティとして構内清掃一ヶ月間と内申書の減点、部としては全体で十日間の活動禁止」   「内申書までなんて!」    会計係の女生徒が涙に潤んだ瞳で訴えると、即座に冷酷な命令が飛ぶ。  
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