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「それにあなたのお茶とおやつがなくなって、かなりイライラしてるみたいよ」
「オレ達が淹れたんじゃ、不味いって飲んでもらえないしなぁ」
口々に訴えたあと、みんなが私に手を合わせる。
「お願い、会長と仲直りしてください!」
全く意味が分からない。
丸眼鏡をくいっと上げて、「少し頭を冷やしてきます」と伝えて部屋を出た。
山茶花の植わっている裏庭は、滅多に誰も来なくて私の密かな息抜きスポットだった。
会長はこの場所をどこかからか見ていたようだけど、一体どこから見ていたのだろうか。死角になっているはずなんだけどな。
上を見ながらキョロキョロと頭を巡らせていると、ジャリッと足音がした。
「あ……」
物音に振り返ると、会長がそこにいた。とっさに身を翻すと、手首を掴まれてしまった。
「待てっ」
「待ちません!」
拒絶したとたん、舌打ちと共に力強く彼に引き寄せられてしまった。
固い胸板を頬に感じ、そのまま温かな腕に抱きすくめられその胸に閉じ込められる。
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