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外に出てからどれくらいの時間が経っただろうか、ひとたび意識を手放しては再起動を繰り返して幾千幾万の死骸を積み上げ続けた。
血に染まり、汚濁に塗れ、それでも尚立ち上がり続けた。
大切なものを失い、貫く志さえ打ち砕かれ、己の存在を否定し、守りたかったものを壊しながら、それでも…
しかし、絶望は目の前を塞ぎ、全ての終わりを迎える。
目の前に広がるは闇黒の穴、これをなんと言えば良いのか、地獄の穴とでも言うのだろうか。口元が緩み、自然と笑みがこぼれた。一つの疑問が、一つの核心へと変わったのだ。
これは夢ではなく走馬灯なのだと。
自身の記憶を辿る映像の再現であると。ならばこそ、この地獄はどこまでも続くのだろう、次に目を覚ました時にはどんな地獄が待っているのか。俺はその地獄でどのような罪状を突きつけられ、そしてどのようにして裁かれるのだろうか。
「ーーー」
名前を呼ぶ。しかし、ここにはもう誰もいない。
俺が汚した、俺が壊した、俺が殺した、その名を口にする資格など俺にはもう無いのだろう。もうここには誰もいないのだから。
そして、かつての在りし日の思い出を瞼に焼き付け、俺は意識を闇へと手放した。
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