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赤銅鎧は動きを止めて立ち尽くし、飾り物の鎧のように鎮座している。
レンがモーリスに尋ねる。
「何をしたんだ?」
モーリスも明確には分かり兼ねるようで、両肩を上げて首をすぼませた。
「ジンの言う通りにしただけよ。……とりあえず、もう敵意は無さそうね」
モーリスの声に、レンが戦闘態勢を解こうとした瞬間、男達の声が廊下から響いて来た。
「ジュン!小さい方もあっちに行ったぞ!」
「チョウサク走れ!このまま二体ともおびき寄せるんだ!」
廊下で邪夢と戦う護衛組の声だ。
レンとモーリス、離れた場所でジンが寝室の入口に目を向けると、こちらに背中を向けながら後ずさり、駆けるジュンとチョウサクの白装束達が現れた。
そしてそれを追って、二体の丸い邪夢が触手を伸ばし、這うようにこの部屋に侵入する姿が……
「もうひと仕事残ってるなぁ」
レンが大剣を肩に担ぎ上げながら苦笑した。
頷いてモーリスはジンを振り返る。
本棚の上で立ち上がる青い帽子は、大弓を静かに構えていた。すでにマーキングとジュン達の援護を開始している。
モーリスは安堵して向き直る。両手に握るリングブレードが輝き出し、その大きさをふた回り大きく変える。輝きは失われないまま、輝くリングとして両手にあった。
モーリスは一つ大きく深呼吸をしてレンに言う。
「私が邪夢の動きを止めてみるわ。大きい方は多分長い時間止めてられないかな。ちょっと厳しいわね。レンは今の内に夢珠を使って」
「え、あの二人が持ってるやつかよ」
「他にないでしょ。ホラ、急いだ急いだっ」
活発に声を投げてモーリスは駆け出した。邪夢に向かって瞬速に消える。
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