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「電車ぁ?バカな事言わないでよ。ケガしたばかりの私に電車移動させるわけ?」
「だよね!そうだよね!そんなバカな事は無いよね!?あはは、何言ってるんだろうね!」
マサルが動揺して訂正するが、オードリーの身体はもちろん完治している。
「という事は、やっぱりあの家に行くしか……ないんだけど」
マサルが口ごもる。
「遠征して来たロキとか言う防人の仲間達が、【中島家】の周辺を一掃して、もう安全が確保されたはずでしょ。元々は私達の班が担当だった家なんだから、元通りにその担当が戻るだけじゃない。何でそれが通らないのよ」
オードリーがにらむ。
「それはそうなんだけど、【中島家】に住んでる人間がかなり毒されてるらしくて、また邪夢を産み出す可能性が高いんだ。いくら僕たちが担当だったとしても、またすぐに戻るには色々と条件が……」
「何?どんな条件!?」
「う、しまった」
条件についてはまだ言って無かった事をマサルは忘れていた。口を滑らせた事を後悔するよりも、オードリーの機嫌が悪くなる方がより後悔してしまう。
マサルが言う。
「あの時よりも、僕たちの戦力が高くなる事が、シュワルツの言う最低条件……」
それを聞いてオードリーは鼻で笑い飛ばす。
「はんっ、そんな事チョー簡単じゃない!あんたが強くなりなさいよ!」
「そ、そんな無茶な……」
「じゃあ、今すぐ班の全員新しい武器と防具を新調なさい!見た目だけでも変わっておかないとねぇ!」
「え、ええ~……すぐバレちゃうよ」
「じゃあ新しいラジオリスナーの人間を見つけて来るしかないじゃない。私が頼んだでしょ?居たの?」
「それが、さっき言った通り……」
「元の家に戻るしかないんでしょ?じゃあ今すぐに全員呼び出して!武器屋に集合!かけあーし!!」
「わわわわ、わかったよー!!」
一目散に走り出すマサル。
ふぅっと、一つため息を漏らしながらオードリーが呟く。
「……あんなに焦らなくても、ジン様が戻って来たら万事解決よ」
微笑むオードリーは、ドアを閉じて、自分も出かける準備を始めるのだった。
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