第七夜 帰還

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「電車ぁ?バカな事言わないでよ。ケガしたばかりの私に電車移動させるわけ?」 「だよね!そうだよね!そんなバカな事は無いよね!?あはは、何言ってるんだろうね!」  マサルが動揺して訂正するが、オードリーの身体はもちろん完治している。 「という事は、やっぱりあの家に行くしか……ないんだけど」  マサルが口ごもる。 「遠征して来たロキとか言う防人の仲間達が、【中島家】の周辺を一掃して、もう安全が確保されたはずでしょ。元々は私達の班が担当だった家なんだから、元通りにその担当が戻るだけじゃない。何でそれが通らないのよ」  オードリーがにらむ。 「それはそうなんだけど、【中島家】に住んでる人間がかなり毒されてるらしくて、また邪夢を産み出す可能性が高いんだ。いくら僕たちが担当だったとしても、またすぐに戻るには色々と条件が……」 「何?どんな条件!?」 「う、しまった」  条件についてはまだ言って無かった事をマサルは忘れていた。口を滑らせた事を後悔するよりも、オードリーの機嫌が悪くなる方がより後悔してしまう。  マサルが言う。 「あの時よりも、僕たちの戦力が高くなる事が、シュワルツの言う最低条件……」  それを聞いてオードリーは鼻で笑い飛ばす。 「はんっ、そんな事チョー簡単じゃない!あんたが強くなりなさいよ!」 「そ、そんな無茶な……」 「じゃあ、今すぐ班の全員新しい武器と防具を新調なさい!見た目だけでも変わっておかないとねぇ!」 「え、ええ~……すぐバレちゃうよ」 「じゃあ新しいラジオリスナーの人間を見つけて来るしかないじゃない。私が頼んだでしょ?居たの?」 「それが、さっき言った通り……」 「元の家に戻るしかないんでしょ?じゃあ今すぐに全員呼び出して!武器屋に集合!かけあーし!!」 「わわわわ、わかったよー!!」  一目散に走り出すマサル。  ふぅっと、一つため息を漏らしながらオードリーが呟く。 「……あんなに焦らなくても、ジン様が戻って来たら万事解決よ」  微笑むオードリーは、ドアを閉じて、自分も出かける準備を始めるのだった。
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