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子供部屋で自分達の武器を取り戻したチョウサクとジュンは、子供部屋を飛び出して驚愕した。
子供部屋のすぐ前には廊下を挟んで階下に続く階段がある。
途中で屈折してコの字に螺旋を描きながら伸びるきざはし。それを黒い暗雲を伴いながら、触手を使い、一段ずつ登って来るのは奇声を放つ丸い塊たち。大小まるで親子のように一列に並んだ二体もの邪夢の姿だ。
「今夜はパニックだな」
ジュンは苦い気持ちを冷静に抑え込んで呟いた。
チョウサクが青ざめた表情でリーダーを見る。
「どうする!?登って来るぞ!」
ジュンは冷静な口調で剣を抜いた。
「ここで食い止める。チョウサクはこの事をみんなに知らせてくれ。戦闘中にここから叫んでも聞こえないだろう。さっきの女の事も忘れるな」
「一人なんて無茶だ!ハルオが居るわけじゃないんだぞ!?」
「わかってる。登ろうとしてくる触手(あし)を狙って払えば多少時間稼ぎにはなるだろう。無理はしないさ」
「本当だな?ハルオの次にジュンまで居なくなるなんて、俺は耐えられないからな!」
「俺だって同じさ。だから無理はしない。出来るだけ持ちこたえてみせるが、その後は子供部屋に入らせないように寝室の方に誘導する」
「わかった!」
チョウサクは廊下を駆け出した。振り返る事なく寝室へ向かう。フローリングの廊下に小さな足音が鎧具の軋みと共に刻まれていく。
部屋に辿り着く間も惜しんでチョウサクは叫んでいた。
「邪夢出現!邪夢が二体出現!階段で応戦中!!」
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