第六夜 凶戦士 (後編)

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 夢珠の形成は、今まさに集束した光の中心にてタマゴのように固まりつつある。その大きさは真珠のようではあるが、小人たちの世界では中玉と称されるに申し分ない。  完全に形成されると、浮力を失い落ちて来るのだが、朱色髪の女が空中を飛ぶ事が出来るならば、俄然有利なのはこちらではない。  モーリスは瞬間、戸惑う。  事前の打ち合わせならばレンがタマゴを取りに行くはずだ。  だが今一番足が速く、最も近い距離に居るのは自分なのだ。  誰しもが自分の役目だと言うだろう。灰髪のレオンも、そう見て動いた。 「そうはさせん!行けエンジュ!そのまま夢珠を戴くんだ!」  灰髪の声と共に、赤銅鎧が走る軌道を変えた。  モーリスに向かって走り出した脚は、真横に方向を向けて、人間のベッドに向かう。  モーリスが夢珠に向かうであろう先に立ち塞がるためだ。  モーリスは目の前の赤銅鎧が左に方向を変えるのを見て、足で床を蹴った。  人間のベッドにではなく、 「超・特・急!!」  レンの居る壁際に向かって。 「馬鹿な!?」  灰髪のレオンは目を疑う。  一瞬で消えたモーリスの姿と、その行動に理解を超えた戸惑いが口を突いて出る。レンに向かってモーリスの進路を開けてしまったとはいえ、その選択は『無い』はずだ。
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