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レンが呻くその隣りで、灰髪が強く言った。
「エンジュは、俺が守る!手出しは、させない!」
その真っ直ぐな言葉に、レンは違和感を感じる。今までレンが受けてきた殺気とは違う、別の気質だ。
「何だ?コイツ?」
レンが転がった床を蹴りつけて起き上がる。身体は軽いままだが、衝突のダメージが左肩の芯に重い熱を帯びていた。
「ああ、レン!大丈夫!?」
モーリスが声を投げる。
「大丈夫ぅ!」
レンが戯けた声を返す。
「でもちょっとぶっつけ本番でやるにはキツイなぁ、練習いるわコレ」
苦笑いしながらもレンは大剣を構えた。灰髪との距離が近い。
「わわわわ、どうなってるんだ!?」
部屋にチョウサクの慌て声が響く。
見ると夢珠に、さっき子供部屋で見た朱髪の女が近付いている。
「あ!あれ、あの女!ジン様レン様!階段で邪夢が二体来てます!」
言葉も上手くまとまらず、戸惑うチョウサクに向かって、赤銅鎧が凶剣を片手ににじり寄る。
シュッ ガキィン!
その足を止めたのは青い閃光の弓矢だ。
「チョウサクさん、ここは任せて!邪夢を頼みます!」
本棚から叫んだジンは、頭を押さえながら立ち上がり、苦痛に顔を歪めていた。
「すみません!お任せします!ジュン今行くぞー!!」
一度子供部屋で鎧戦士と剣を交えているチョウサクは即座に踵を返した。
まったく太刀打ち出来なかったチョウサクの目には、半壊した鎧戦士の頭部が信じられない光景でしかなく、場違いの感を否めない。あの侵入者達は確実に護衛組より強く、さらにレン達はその侵入者と戦ってダメージを与えられる程に強いのだ。
階段に伸び上がる触手を相手に剣を振るうジュンの姿を遠く見ながら、せめてあの邪夢には負けないと誓うチョウサク。長槍を構えて廊下を駆けていた。
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