第六夜 凶戦士 (後編)

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 本棚の上でジンは弓を構え、赤銅鎧に三度弦を鳴らした。  青く光る矢は真っ直ぐに肩胸足を狙ったが、凶剣によって振り払われ、落とされる。  ジンは痛む頭で、その実は思考していた。 『アレはただの鎧だ、本体をやらないと止まらない操り人形だ。でもどうやって止める?彼はあのコを助けたいだけだ……』  流れ込んできた意識の波を咀嚼しながらジンは受け入れて行った。  それが偽りでもまやかしでもなく、真実だと思うのは、記憶の欠片の中に確かな証拠など無くとも、信じられると、そう信じさせる言葉の強さがあった。ただそれだけだ。  たとえ敵として現れたとしても、そこにある真実は、善も悪も差別なく受け入れなければならない。  ジンの居る本棚の下、すぐ近くにモーリスが居る。  レンに力を与えた少女の姿を見て、ジンは一つの仮定を思案する。 「自由……自由か……」  ジンはモーリスを呼ぶ。  本棚の上で待つ事、数秒。  モーリスは疾風のごとく跳躍してジンの隣に立った。 「何?どうしたの?」 「モーリス、『自由』の反対って何だろう?」 「はぁ?」  モーリスは真剣に聞いて来るジンに向けて眉根を寄せた。
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