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本棚の上でジンは弓を構え、赤銅鎧に三度弦を鳴らした。
青く光る矢は真っ直ぐに肩胸足を狙ったが、凶剣によって振り払われ、落とされる。
ジンは痛む頭で、その実は思考していた。
『アレはただの鎧だ、本体をやらないと止まらない操り人形だ。でもどうやって止める?彼はあのコを助けたいだけだ……』
流れ込んできた意識の波を咀嚼しながらジンは受け入れて行った。
それが偽りでもまやかしでもなく、真実だと思うのは、記憶の欠片の中に確かな証拠など無くとも、信じられると、そう信じさせる言葉の強さがあった。ただそれだけだ。
たとえ敵として現れたとしても、そこにある真実は、善も悪も差別なく受け入れなければならない。
ジンの居る本棚の下、すぐ近くにモーリスが居る。
レンに力を与えた少女の姿を見て、ジンは一つの仮定を思案する。
「自由……自由か……」
ジンはモーリスを呼ぶ。
本棚の上で待つ事、数秒。
モーリスは疾風のごとく跳躍してジンの隣に立った。
「何?どうしたの?」
「モーリス、『自由』の反対って何だろう?」
「はぁ?」
モーリスは真剣に聞いて来るジンに向けて眉根を寄せた。
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