第六夜 凶戦士 (後編)

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 赤い帽子を揺らして灰髪の戦士と剣を打ち合うレン。二合、三合と打ち合う毎に、レンは大剣の重量を上げていく。最初は押され気味だった打ち合いは、次第にレンに優勢を示し始める。  一刀を持って戦うお互いはダメージの有無と大小もあるが、その敏捷度に歴然たる違いがあった。  身を捻って躱すレオンに対して、疾風の力を得たレンは、まさに体ごと消えるのだ。そしてまた現れた時には全体重に大剣の重量を加味して攻撃して来る。  その離れた距離がそのまま加重の威力と合わさり、数回打ち合う内に早くも受け切れない重さにまで威力を増していった。加速するための体術と加算される大剣の重量コントロール、僅かの間にレンは一対一の戦闘ならば無敵の強さを手に入れていった。  もちろんそれは大剣を重くしたり軽くしたりという一秒未満の繊細な切り替え能力と、レンの戦闘センスが要因としてあるのだが、レオンにとっては知らない事だらけだ。目に見える事実を受け止めるならば、今までにない強敵として、この赤い帽子の小人の存在を脳裏に刻みつつある。  だが、戦闘に優勢を迎えても、夢珠を持ち去られては勝ったとは言えない。肝心の夢珠は光が弱まり、完成を間近に控え、さらにその目の前で幽体のように透ける両手を広げて待っているのは朱毛の半身・エンジュの姿だ。  ジンとモーリスは、離れた本棚に居るし、赤銅鎧はゆっくりとではあるが歩を進め、灰髪とレンの戦いに加勢する動きを見せている。  たまらずレンが叫んだ。 「おい!ジン!モーリスも何してんだ!?」  それを聞いてモーリスがジンを見て言った。 「ジン、急ぎましょう」 「きっと束縛や拘束じゃない、コレが正解だと思うんだ」 「わかったわ。使った事がない文字だし、弓矢もやった事ないけど、試してみましょ、ぶっつけ本番だけどね」  ジンは矢をつがえた。
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