彼は、遊んだだけである

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「はぁ、はぁ、はぁ…」 ある街の、大きな屋敷の隠された地下室。そこに一人の男が走っていた。 この屋敷の主たる男は、この男を売った。自らの命のために。 「……」 男は物陰で息を止めた。自分を狙う者は、自分の息遣いで探していたのだから。それならこの激しく鳴る心臓の音もいけないのだろうか。余計にドクンと脈打つ。 「あれー?何処に行ったのかなー?」 遠くから奴の声が響いてくる。若い男だった。 昨日の夜、やつは私にこんな事を聞いてきた。 「なぁ、お前で合ってるよな?」 意味が分からなかった。知らないと答えれば、奴は楽しそうに笑った。 「やっと見付けた」 顔を上げた男は、だがそれを見ることは出来なかった。男の頭は床に転がっていたから。 「あーもう、こいつ何体いるんだよ」 ソレは手慰みに男の腕をもぎ取った。ぽん、ぽんと放り投げて遊んでいる。壁に、床に血が飛び散る。 「ま、全部壊せば自由に動けるわけだし。ちょっと仕事が増えたくらいで問題ないかー。みんな同じ反応でつまんねぇけど」 男の頭に、足を乗っけた。 「てめぇら全部ぶっ壊すからよ、次は諦めて命差し出せよ?またな、誰かさんのクローンさん?」 ボールのように蹴って、壁にぶつかり潰れた。
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