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羽交い絞めにされている善也を奪い返すように俺は善也に抱きついた。
勢いづいて抱きついたせいか善也の動きを封じていた数人がよろけた拍子に手足を解放していた。
「善也にさわんないで!善也とちゅーしないで!やめてよ!」
さっきまでの酔いはどこへ行ってしまったのか……たぶん怒りでどこかに飛んでしまったのだろう。
いきなり横から出てきた俺が気に食わないのか、告白した先輩も善也に抱きつき始めた。
それを見てさらに俺の中に怒りが生まれる。
「珠緒くんは離れてよ!いつもずるいよ!」
「ずるくない!ずるくないの!だって善也は俺のだもん!だから離れて!」
「嫌よ!善也くんの彼女になるんだから!」
「だから駄目なの!」
「…………」
「おいおい二人とも……」
酔っ払い同士の言い争いに巻き込まれた善也は無言を貫いている。
収束する様子がないのを見かねた先輩が仲裁しようと立ち上がっているようだった。
「善也は俺のなの!産まれた時から俺ので、俺も善也のなの!だから善也とちゅーしないで!俺の善也に触らないで!」
酔っ払いって恐ろしい。
尚も善也にくっつく女の先輩を手のひらで押し返す。
まさか女の子に手をあげる日が来るなんて……。
「おいおい珠緒~お前はこっち来てろって~」
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