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近くにいて善也の動きを止めていた男の先輩が、暴れだした俺の首根っこを掴み善也から引きはがす。
でも俺の力ではその先輩に叶うはずもなく、抵抗空しく善也から引き剥がされてしまう。
やだ、やだ!善也から離れたら善也がどっかいっちゃう!
そんなの嫌なのに―――――――!
「触るな」
俺の腰を抱え抱き上げるようにして先輩から引き剥がし俺を奪った善也は、そのままその先輩を足で蹴飛ばした。
相変わらず容赦のない。
その行動に酔っていた面々も言葉を無くすことしかできない。
でも俺には怖い悪漢から救ってくれた王子様だ。
「善也ぁ~」
「珠緒帰るぞ」
「うん!」
俺の気分はお姫様。
いわゆるお姫様抱っこもされてるし。
王子に救われたお姫様は王子様に御礼をしなきゃいけない。
それくらいは俺でも知っている。
「ありがと、善也」
ちゅっ、と可愛いリップ音を立てて俺は善也にキスをした。
善也は目を丸く見開いている。
一瞬固まった後、俺でも中々見られないくらい顔を破顔させた善也は
「どういたしまして」
と言って、触れるだけのキスを俺に返してきたのだった。
どうだ見たか?先輩たち。
さっきの先輩がキスをしたときは善也は距離を取ろうとしていたが、俺がキスをすれば善也は返してくれるんだ。
俺と先輩の位置が違うのが分かったかな?
善也にキスをして、善也からキスをされて幸せ気分の俺はそのまま善也の腕の中で眠りの世界へと飛び立ったのだった。
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