第1章

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【SIDE Y】 今まで何故珠緒にこの欲を向けずに生きてこれたのかがわからない。 それくらい珠緒としたSEXは今までの全てを塗り替えてしまうくらい衝撃的だった。 体内に侵入しただけで昇天できる。 たぶんそれは珠緒も同じ で、伺い見た表情は感極まっていた。 何とか押し留め更なる高みを見ようと努力したが駄目だった。 俺の腕の中で喘ぐ珠緒はとても綺麗で、これでようやく俺のものになったのだと実感したのだった。 抱いても出しても絶えることはない。 珠緒が初めてなのは知っていた。知っていたけど加減ができなかった。 「よ、しやっ……」 「珠緒っ」 大好きだ珠緒。 でも俺は珠緒を手に入れてしまった。 手に入れたら失うのが怖くなってしまう。 多分俺はお前がいなくなったら生きている意味がないんだ。 比喩なんかじゃなくて本気で。 もしもお前が俺を捨てる時が来るのなら俺を殺してくれ。 多分お前の手で殺されたら、死んでも少しは救われると思うんだ。 でも叶うなら死ぬ時はお前と一緒が良い。 産まれた時と死ぬときはお前と一つでいたいんだ。 「ふふっ……善也の心臓の音聞こえる。サイコー……」 珠緒の上に覆い被さり、抱き合っている状態だった。 本来左側からしか聞こえない鼓動が右側からも聞こえる。 両側から俺と珠緒の音が聞こえる。 「俺たちの心臓だな……」 「うん、一個だけじゃだめだよ?一個だけじゃ生きれないから俺たち」 「あぁ……」 愛なんて言葉では表現しきれない。それよりも淀んでいて、粘着質で際限がない。 それをなんと言葉で表現したらいいのかわからない。 でも近い言葉で表すなら、きっとそれは『運命』なのだろう。
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