第1章

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「先輩意外とロマンチストですね……。でも俺もこれからずっとあの鳥たちみたいに、善也と寄り添って生きていきますよ」 「おうおう。頑張ってくれ……って、ん?寄り添う?あぁ、はいはい。違う違う。下見てみろ、下、しーた」 どうやら先輩はあの二羽を指差したわけではないらしい。 俺は先輩の本来指差す方向へ視線を向けると…… 「あんな風に二羽で一つの体に翼をはやして、一羽になって飛ぶ鳥がいるんだよ。片方だけじゃ飛べないだろう?本当お前たちみたい」 先輩はそういうと笑って講堂へ入ってしまった。 俺はその光景を黙って見ていることしかできなかった。 昔何かの本でちらっと読んだ覚えがある古い言い伝え。 比翼の鳥……確か 雌雄それぞれ目と翼が一つずつで、常に一体となって飛ぶという想像上の鳥だったはずだ。 片翼では飛べない、二人いないと生きることができない。 まさしく俺と善也のようだ。 「まじ先輩最高ー」 寄り添う二羽によって地面に作られた影を俺は携帯で撮影した。 帰ったら善也にも見せてあげよう。 多分善也も気に入るに違いないと確信しながら、先を行ってしまった先輩の後を追ったのだった。
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