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「大変だと思うわよ。これから」
中学から高校に上がる時、それが当然のように二人は同じ学校を選択した。
それは予想の範疇だったので私は善也にそう忠告した。
卒業式からの帰り道。
珠緒くんは家族とこの後食事に行くとかで別に帰って行った。
彼は仕事だったので私だけが参加したのだ。
「何が?」
「気づいていないの?ならいいわ」
鳶が鷹を生むとかいうけどまさしく善也はそれだった。
私や彼の子供と言うのが信じられないくらい、頭の出来が良かった。
中学の先生からも別の高校を受験したほうが良いと薦められたくらいに。
でもどんなに頭が良くても自分の気持ちには気付けないらしい。
そこはまだまだ子供なのだろう。
大丈夫よ、貴方が気づく事が出来なくても、私が気づいていてあげる。
だから貴方はまだ安心して珠緒くんと友情を育めばいい。
でも友情ではないのに友人を続けようとしている貴方たちにはいずれきっと変化が訪れる。
それまではぬるい今の関係で満足してれば良い。
だって人を愛すると言う事は、とても素敵であることと同時にとても醜いことだと私は思うから。
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