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「次はどこ行くんだ?」
「んー、どこ行こうね。せっかく少し遠出してきてるからね。ネットじゃ買えないところに行きたいかな。あ、公園でも行きませんか?善也さん」
「公園?どうして?」
「だってデートって言ったら公園じゃない?これ俺たちのデートでしょう?」
近くにランニングコースや小さな湖のある公園があった事を思い出す。
定番ではあるがスワンボートを一緒に乗るのも良いかもしれない。
善也はニヤリと俺の好きな少しエロスを含んだ笑みを浮かべたかと思うと、レシートを持って席を立つ。
まだ食べ終わっていない俺を待つことはせずに会計に進む善也に頭を悩ませながらも、最後のデザートを掻きこんで慌てて後を追う。
既に会計は済ませた終わったようで、外の壁に寄りかかりながら時間を潰す善也の元へ足を運んだ。
「なに、急に?」
「なぁ珠緒。これってデートなんだろ」
「うん、俺はそのつもり」
「ならさぁ」
「?」
「デートの一番最後ってなんだかわかってるか?」
「デートの一番最後?」
俺には善也の言う意味が全く分からなかった。
そんな俺の思考も見透かしているのか、俺の手を取ると近くの公園を早足で目指す。
「ああ、デートの最後はSEXだと俺は思う」
「は?」
「と言うわけでさっき試写会が行われる劇場の近くのホテルを予約した。今日はそこに泊まるぞ」
「は?着替えとかは?」
「今から買い物に行くんだ。そこで買えば問題はないだろう」
それはそうなのだろうけど、急に善也プランに変更されたデートは俺が当初予定していたものとはずれてきている。
俺の予定では映画を見た後はまたどこかでディナーでも食べて、少し夜景でも見ながら帰宅する予定だったのだが多分この様子だと映画の後はホテルに直行なのだろう。
「……ちなみにそのホテル夜景見れたりする?」
「とりあえず上の階を押さえた。だから見れるだろう」
「んー、なら良いかな」
自分の予定がずれてしまった事よりも、善也が俺の為に行動してくれた気持ちの方が大事だ。
俺が『デート』と言うから彼も彼なりに考えてくれたのだろう。
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