20人が本棚に入れています
本棚に追加
アイドルが自分のグッズや写真を並べた部屋を楽しそうに見ている。よく考えたらすごい光景だ。
一周回ってシュールだ。
「これ初期に出した曲だ。すげぇ」
敬一が一枚のCDを見つける。それを懐かしそうに見る。
「…柚希は最初の頃からオレを応援してくれたんだね」
「うん、まぁ…」
俺はデビュー当時、二年前から敬一を見ている。初めてネットで動画を見て感動しときめいた。あの頃はまだ人気はなかったが、それでも前向きに活動する敬一を見てずっと勇気をもらってきた。
「…敬一の応援しながら、あの頃は就職活動頑張ってたよ」
敬一が眩しくてかっこよくて大好きだ。
敬一が頑張っているうちはファンの俺も頑張らないといけない…
「柚希はいいこだねぇ」
「ふぁ!」
敬一はCDを元の場所に戻すとまた抱き着いてきた。
「奥村敬一は頑張るファンを応援しまーす♪」
「応援するのはファンのほうだろ?」
抱き締められるとまたドキドキする。敬一の心臓の音も重なる。
「まぁた、柚希が好きになってきたよ。オレ幸福者」
やっぱり俺は敬一に恋をされている。好かれることは嬉しいはずなのにやっぱりもやもやする。やっぱり俺の気持ちは『恋』じゃないのかな…
「やっぱり柚希は可愛いから離したくないな」
「わわっ!」
ドサッと俺はベッドに押し倒される。
最初のコメントを投稿しよう!