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俺は涼太、どこにでもいる普通の高校一年生だ。名前と一人称でわかるだろうけど一応男子。
そんな俺は最近ストーカー被害にあっている。
常に背後から人の気配がしたり、下駄箱に怪しい手紙やプレゼントが入ってたり、使用済みストローなどのゴミがいつの間にか消えてたり……と、まぁこの辺は序の口、よく聞く話だろう。
さっきも下駄箱に薔薇の花束と手作りっぽいウサギの縫いぐるみと手紙とチョコレート菓子が突っ込まれていたので、花束と縫いぐるみはごみ箱へぶちこんで、いまどき珍しいハートのシールが貼られている手紙もいつも通り破り捨てた。奇跡的にお菓子は手作りではなく既製品だったのでありがたく頂戴した。ポッ〇ーうめぇ。
すっかり手慣れたもんだ、なにしろこれで14日目だからな。しかしちょうどその場に居合わせている生徒達は、涼しい顔をしている俺をドン引きしながら見ていた。そりゃそうだ、慣れているとはいえストーカーからの贈り物を躊躇なく捨てたんだから。
俗に言うストーカーの怖いところは犯人が特定しにくいところと、相手が何をしてくるか予想出来ないところにある。逆上させるなんてもってのほかだ。そんな危ない奴に対してこんな雑な対応をするのはよっぽどの馬鹿か怖いもの知らずだけ。
だけど俺は大丈夫、犯人はわかっているし何をしてくるかも大体予想できる。
「あ、涼太おはよー!」
教室に入るや否や例のストーカーは、その金髪と同じくらい明るい笑顔で挨拶してきた。
そう、このストーカーと俺は同級生、しかも同じクラスなのだ。
「おはよ…。」
相手はストーカーだけど一応人間だし一応クラスメートだから挨拶くらいは返す。
さて、このストーカー、名前は康平という。無造作にセットされた金髪と着崩した制服、そして鍛え上げられている筋肉から察するに昔ヤンチャしてた系男子だろう。
ここで一つ確認しておくが俺はれっきとした男子だ、そしてここは男子校、そしてここにいる康平も男子。
男が男にストーカーってお前……。
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