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「は……ン、んぅ」
いつものキスもベッドに押し倒されているというだけで、普段と感じ方が全然違う。
何度も角度を変えて舌を絡ませて、唇が離れる寸前に軽く吸い付いて、その度にチュッ、というリップ音がいちいち耳に響く。
「涼太かわいい」
耳元でそっと囁かれた後に耳を甘噛みされると、背筋から足先までが一瞬でゾクリと震えて、俺の口から上ずった声が勝手に漏れた。
笑ったような吐息が耳をくすぐって、また少し腰が震えた。
「んっ……ふぁッ、ひっ……ぅ」
耳から首筋にかけて這う舌と、どこにでも吸い付く唇、時々優しく歯を立ててくる鈍い痛みの刺激がランダムにやってきて、次は何をされるか予想も出来ない俺は、口を手で押さえて声を出さないよう、ただ耐えるしかない。
だけど康平はいつだって絶妙なタイミングで新しい刺激を与えてくるから、時々声を抑えきれなくなる。
「ちょ、こうへ……待て。家族に聞かれる」
なんとか気力を振り絞って睨み付けてみたけど、康平は愛おしげに笑うのみ。
「涼太顔真っ赤」
「うっせぇ」
誰のせいだと思ってんだ、と言いかけた口は康平によって塞がれた。悔しいけど、こうなったら俺には抵抗出来ねぇ。上に乗られてるし、そもそも力の差がありすぎる。
康平ばかり動いているのに、俺からは何も出来てないのが悔しくて、せめて康平の背中部分の服にしがみついたけど、きっと何の意味も無いだろうな。
ああ俺達は今、人に見せられない事をしてるんだ――そう思うと俄然気持ちが高ぶってくるもので、その度に康平の服に皺が増えていく。
最近の俺はちょっとおかしい、康平の手や唇に触れられている所の感覚が何だか変なんだ。くすぐったくて、だけどもっと欲しいと思ってしまうような、ちょっと癖になる感覚。
これはちょっと言葉にするのは難しいな。とにかくヤバい。この感覚を味わう度にもっともっと欲しくなる。
だけど――
「……はい、今日はここまで」
康平はいつも途中でやめてしまう。
「なんで……いつもいつもお前はっ」
乱れた呼吸をそのままに睨みつけた。無駄に火照った体が変に疼いて、身をよじっても切なくなるだけで、何だかモヤモヤする。
「中途半端で終わらすくらいなら、触んなよ」
「……ごめん」
康平は困ったように笑う。俺が欲しいのは、そんな薄っぺらな謝罪の言葉なんかじゃねぇのに。
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